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使い方次第で記憶の定着率が変わる!ノート術のアップデート方法2選

使い方次第で記憶の定着率が変わる!ノート術のアップデート方法2選

学習においてノートは、欠かせないアイテムのひとつです。講義やセミナー、書籍や論文などから得た情報を整理し、定着させるためには、適切なノート術が必要不可欠です。

しかし、ノート術は一度習得すれば終わりというものではありません。時代とともに情報の形式や収集方法が変化し、その変化に対応するために、ノート術もアップデートが必要になります。

本記事では、ノート術をアップデートするための方法をご紹介します。これまでのノート術に新たな視点を加え、より効率的に情報を整理し、定着させるために、ぜひ参考にしてください。

ノート術の改善は、学習効果を高める!まずは改善の必要性を理解しよう

ノートは、学習において欠かせないアイテムですが、その効果は、取り方によって大きく左右されます。

ノートをうまく取ることができれば、膨大な情報を整理し、定着させることができます。逆に、ノートを取る方法に問題がある場合は、情報をうまく整理できず、学習効果が低下することがあります。

皆さんはこれまでに正しいノートの取り方について考えたことがあるでしょうか?

学校で先生が黒板に書いた情報をそのままノートに写して終わりにしていませんか?

ノートを撮る際は何のためのノートかを明確にしておくことが非常に重要です。なぜならノートを取る目的によって取り方が大きく異なるからです。

例えば、思考を整理するためにノートを活用する場合は、マインドマップなどのフォーマットを採用することが効果的かもしれませんし、復習用のノートを作成する場合は、のちに確認して理解しやすいように普段使用している日本語を積極的に使用し、教科書のような堅苦しい日本語を避けることが効果的かもしれません。

目的に応じてノートの取り方が異なり、ニーズにあったノート活用術を身につける必要があることを把握しておく必要があります。

視覚的なノート術を取り入れて、効率的に情報を整理しよう

画像などを活用し、ノートを作成することで脳にインプットしやすくなります。

皆さんは画像優位性効果をご存知でしょうか?

画像優位性効果とは、視覚情報によって刺激された脳の処理が、他の感覚刺激に比べて早く、正確で強いことを指します。つまり、人間の脳は視覚情報を優先的に処理するため、画像はテキストや音声に比べて認知的な影響が大きいことを示しています。

具体的には、以下のような特徴があります。

  • 認知速度:画像は、同じ情報を表現するテキストよりも迅速に認識できます。脳は、視覚情報を処理するための専用の領域を持っているため、画像を見ることで情報をすばやく処理できます。
  • 記憶効果:画像は、同じ情報を表現するテキストよりも長期的な記憶に残りやすいとされています。これは、脳が視覚情報を処理するための複雑なネットワークが、記憶を定着させるのに重要な役割を果たすことが関係しています。
  • 意味の抽出:画像は、複数の情報を同時に伝えることができるため、脳はテキストよりも多角的な情報を抽出することができます。例えば、表情や身振りを伴った画像は、テキストだけの文章よりも、より多くの情報を伝えることができます。

このように、画像優位性効果は、視覚情報が人間の認知において重要であることを示しています。企業やマーケターにとっても、商品やブランドを伝えるために、画像やビジュアルコンテンツを活用することが重要とされています。

ジョン・メディナが行った「ブレーン・ルール」の実験によって得られた数値データは以下のようになります。

情報処理速度
被験者に対して、数字を提示し、その数字を読むタスクを与えました。その際、数字が表示されるまでの待ち時間を徐々に短くしていき、被験者が数字を読めなくなるまでの最短時間を測定しました。この結果、被験者が数字を読むために必要な時間の平均は約250ミリ秒であることがわかりました。

情報の処理速度における感覚刺激の優劣
被験者に対して、テキスト、画像、音声の3つの情報を提示し、それぞれの情報を処理するために必要な時間を測定しました。この結果、音声情報の処理速度が最も速く、次に画像情報、最後にテキスト情報が遅かったことが示されました。具体的には、音声情報の処理速度は平均で176ミリ秒、画像情報は240ミリ秒、テキスト情報は約500ミリ秒であったと報告されています。

ノートの場合、音声情報を組み込むことはできませんが、画像を組み込むことで効率的に脳へ情報を伝達可能です。

これらの結果から、メディナは、複数の感覚を刺激することがより効果的な学習につながると結論付け、教育において、音声や画像情報を活用することが重要であると提唱しました。

加えて、同研究によって音声と画像では記憶の定着にも差が生じることが発見されました。

「ブレーン・ルール」の実験によると言葉だけの情報を受け取った場合、72時間後にはそのうちのわずか10%しか記憶に残っていないということがわかりました。これに対し、言葉に加えて絵や画像を使用すると、情報の記憶率が大幅に向上し、65%が記憶に残ることが明らかになりました。つまり、絵や画像を使った情報伝達は、単に言葉だけを使うよりも記憶に定着しやすく、効果的な方法であると言えます。

引用:『画像優位性効果 Picture Superiority Effect – UX DAYS TOKYO

以上を踏まえ、ノートに画像などの情報を組み込むことが有用な方法です。

アウトプットを取り入れて、ノート術をアップデートしよう

効率よく記憶を定着させるための方法としてこれまで様々な仮説が提唱されてきました。具体的には以下の通りです。

スペーシング効果仮説
スペーシング効果仮説は、情報を短期記憶から長期記憶に移行するために、情報の繰り返しをすることが重要であるとする仮説です。この仮説に基づくと、情報を一度に多く覚えようとせず、少しずつ繰り返すことで効率的に暗記することができます。

イメージング効果仮説
イメージング効果仮説は、情報を視覚的に表現することで、より効率的に暗記できるとする仮説です。この仮説に基づくと、情報をイメージや図として覚えることで、より鮮明な記憶ができるため、効率的に暗記できるとされています。

意味化効果仮説
意味化効果仮説は、情報を理解し、自分自身の言葉で表現することで、より効率的に暗記できるとする仮説です。この仮説に基づくと、情報を単に覚えるのではなく、意味や関連性を理解し、自分自身の言葉で表現することで、より深い理解ができ、効率的に暗記できるとされています。

チャンキング効果仮説
チャンキング効果仮説は、大量の情報を小さな単位に分け、それらをグループ化することで、より効率的に暗記できるとする仮説です。この仮説に基づくと、情報を単語や数字などの小さな単位に分け、それらをグループ化することで、より効率的に暗記できるとされています。例えば、電話番号を3桁ごとにグループ化して覚えるなどが挙げられます。

これらの記憶定着仮説とならび、しばしば活用される手法の1つにアウトプット仮説があります。

アウトプット仮説とは、本来第二言語習得の際に活用される手法であり、第二言語習得においてインプットだけでは不十分であり、話す・書くといったアウトプットも必要であるという仮説です。インプットは言語の意味処理において主な役割を果たし、アウトプットは言語の構文や形式の算出における正確さに貢献する可能性があるとされます。アウトプットが第二言語習得において果たす役割には、以下の3つがあります。

Noticing function(気づき機能):学習者がアウトプットをすることで、自分が伝えたいことと自分の能力で伝えられることとのギャップに気づくことができます。このギャップに気づくことで、自分の不明瞭となっている知識を補強したり、新たな知識を得たりとインプットへの注意が促されます。

Hypothesis-testing function(仮説検証機能):学習者がアウトプットをする際には、常に何らかの仮説を暗黙的に含めています。アウトプットをし、相手からフィードバックを得ることでその仮説を検証し、必要に応じて修正していくことを指します。アウトプットの中で自分の文法や単語が合っているかを試し、相手に正しく伝わったかどうかを見ながらアウトプットを改善し、正しい知識を定着させていきます。

Metalinguistic function(メタ言語的機能):学習者がアウトプットによって自ら学んだ言語について意識的に省みることができます。アウトプットをすることで、インプット時には目が向かなかった細かい文法ルールなどにも意識が向くようになり、学んだ内容を定着させることができます。

これまで、板書や参考書を写すためだけにノートを活用していた方は、ノートを使用した学習でアウトプットを活用できていません。

例えば、参考書をある程度のページ数読み進めた後に、参考書を閉じた状態でノートに記憶に残っている情報を書き出すなどのノート術を導入することで、アウトプットを学習に取り入れることが可能です。

定期的な改善を心がけて、ノート術をアップデートし続けよう

ノートを取る際に、情報の整理や記憶の定着を促すためには、いくつかの効果的な方法があります。まず、視覚的な情報を取り入れることで、情報をより視覚的に理解しやすくなります。そのため、画像やイラストを挿入することが有用です。また、アウトプットも重要です。ノートを取る際に、アウトプットを取り入れることで、情報の定着につながります。例えば、参考書の情報について自分の言葉でまとめたりすることで、情報を確実に自分のものにすることができます。

これらの方法を組み合わせて、より効果的なノートのまとめ方を実践してみましょう。